通関士とは、貨物の輸出入に関する手続を専門家として、税関に提出する書類の審査などを行う仕事です。
国家資格が必要な専門職ですので、通関士になりたいと思う方もいると思います。
一方で、「通関士はやめとけ」といった声もあります。
私の考えとしても、「通関士はやめとけ」という結論です。
通関士は国家資格が必要で、仕事に就くまでが大変なのに、給与は決して高くありません。
また、先行きが不透明であることから、通関士をおすすめできません。
この記事では、「通関士はやめとけ」と判断した理由について、詳しく紹介していきます。
通関士はやめとけと考える5つの理由
通関士はやめとけと考える5つの理由を順に紹介していきます。
通関士の試験が難しい
通関士は、国家資格に合格する必要があります。
例年の合格率はだいたい10~20%程度です。かなり低い数字ですね。
令和5年(第57回)の通関士試験の合格率は、24.2%と比較的高い数字でしたが、それでも4人に1人しか合格しない状況です。
通関士になる前に、資格試験で挫折してしまうかもしれません。
通関士の従事者はあまり増えていない
通関士の試験に合格しても、全員が通関士として働いているわけではないようです。
通関士試験に合格する人は、毎年1,000人程度います。
しかしながら、通関士として従事している人数は、下記表のとおり、あまり増えていません。
2023年から2024年にかけては、8,491人から8,472人に減少しています。
ですので、通関士の試験に合格しても、通関士として働けるかどうかは、また別の問題といえます。
他の仕事に応用できない
通関士は専門的な職業ですが、逆に言うと他の職業にスキルを活かしにくいと言えます。
通関士になるために勉強してきたのに、通関士になれなかった場合、就職や転職が厳しくなる可能性があります。
給与が高くない
通関士は資格が必要な専門職なのに、あまり給与が高くありません。
ハローワークで、通関士の資格が必須で、正社員の求人の給与を調べてみました。
だいたい90件の求人があり、平均月額は28万5千円でした。
「令和4年賃金構造基本統計調査」によると、一般労働者の平均月収は31万28千円とされています。
ですので、通関士は世間の平均よりも1割程度少ない計算になります。
もちろん、ハローワークの求人の賃金が安い可能性もありますし、実績次第でもっと給与が上がることも考えられます。
とはいえ、国家資格を持っているから、大金を稼げるような職業ではないと言えそうです。
将来が不透明
通関士の仕事は、将来的にはAIにとって変わられるという話もあります。
さすがに国家資格が必要な仕事が、すぐに無くなることはないでしょう。
しかしながら、AIで業務の効率化が行われれば、通関士は最低限の人数になってしまう可能性があります。
現時点でも、通関士の資格取得者に対して、通関士の従事者が少ない状況ですので、待遇が悪くなる未来が待っているかもしれません。
まとめ:通関士はやめとけ
通関士はやめとけと考える理由について紹介しました。
- 通関士の試験が難しい
- 通関士の従事者はあまり増えていない
- 他の仕事に応用できない
- 給与が高くない
- 将来が不透明
通関士になるには国家資格に合格し、通関士業務に従事する必要があります。
まず、そこまでがかなり高い壁になっています。
それなのに、あまり給与は高くなく、将来が不透明という不安があります。
「国家資格が必要な仕事だから安泰だろう」という考えで、通関士になるのはやめといた方がいいでしょう。