就職を考えている方の中には、警察官をめざしている人もいるかと思います。
しかしながら、「警察官はやめとけ」といった声が気になり、警察官になるのをためらっている方もいるのではないでしょうか?
結論としては、「厳しさについていけないなら警察官はやめとけ」となります。
警察官の離職率は、世間で言われているほど、高くはありません。むしろ低いくらいです。
しかしながら、若手の離職率が高いことから、警察になじめなくて辞めた人が多いことが想像できます。
ですので、警察官の厳しさについていけないようでしたら、最初からやめておいた方がいいでしょう。
厳しさについていけないなら警察官はやめとけ!
警察官は、一般の職場以上に厳しい環境で勤務することになります。
体力的にも精神的にも、かなりの厳しさがあります。
この厳しさについていけない場合は、「警察官はやめとけ」となります。
具体的な厳しさとしては以下のようなものがあります。
- 権力の行使に伴う大きな責任と緊張
- 長時間の過酷な勤務体制
- 上下関係の厳しさ
このように、日常的に過酷な状況に直面することになるため、相当のメンタル力が必要とされる職業です。
こういった厳しさに耐えられないと思うのでしたら、「警察官はやめとけ」となります。
逆に、厳しい環境でも耐えられ、警察官にどうしてもなりたいという方には、「やめとけ」とは言えません。
警察官の離職率は高くない
一般的に、警察官の離職率は高いと思われがちですが、決してそんなことはありません。
地方公務員の職種別の退職率と民間の離職率を表にまとめたのが、以下の表になります。
民間の離職率が11.0%に対して、警察は1.3%と、約1/8程度の離職率になっています。
また、他の地方公務員と比べても、特別警察の離職率が高いということもありません。
業種 | 労働者数(千人) | 離職者数(千人) | 離職率 |
---|---|---|---|
民間 | 51,198.9 | 5,630.2 | 11.0% |
警察 | 287.9 | 3.8 | 1.3% |
一般行政 | 558.1 | 12.7 | 2.3% |
福祉 | 384.2 | 2.6 | 0.7% |
教育 | 1,066.1 | 12.8 | 1.2% |
消防 | 163.8 | 1.6 | 1.0% |
上記表は、下記「総務省」「厚生労働省」の資料を元に作成しました
引用元:令和3年度 地方公務員の退職状況等調査
引用元:令和5年 地方公共団体定員管理調査結果
引用元:雇用動向調査
「警察官の離職率が高い」というのは、データに基づかないイメージだけのものと言えます。
「警察官を辞めた」というと印象に残りやすいので、多く感じるというのもあるでしょう。
実際、周りを見ても、民間企業を辞めた方の方が圧倒的に多いです。
ですので、警察という組織が肌に合う方でしたら、定年まで続けることも考えられるといえます。
警察官の若手の離職率は高い
警察官の離職率は低いという話をしましたが、若手警察官の離職率は高めというデータもあります。
若手警察官の離職率は高い
上で紹介した離職率に関して、30歳未満の若手の方の離職率を見てみたいと思います。
全体の離職者のうち30歳未満の割合が、民間47.2%に対して、警察は51.9%とかなり高い数字になっています。
業種 | 労働者数(千人) | 離職者数(千人) | 30歳未満の離職者数(千人) | 離職率 |
---|---|---|---|---|
民間 | 51,198.9 | 5,630.2 | 2657.7 | 47.2% |
警察 | 287.9 | 3.8 | 2.0 | 51.9% |
一般行政 | 558.1 | 12.7 | 3.6 | 28.5% |
福祉 | 384.2 | 2.6 | 1.1 | 42.2% |
教育 | 1,066.1 | 12.8 | 3.2 | 25.2% |
消防 | 163.8 | 1.6 | 0.9 | 56.8% |
警察官を辞める人は、それほど多くないけど、若いうちに辞める人の割合は非常に高いと言えそうです。
この理由として、下記2点が考えられます。
- 警察学校が厳しい
- 他の職種に転職しづらい
順に紹介します。
警察学校が厳しい
若手が離職する理由の一つは、警察学校での訓練の過酷さにあるようです。
警察学校では実戦を想定した過酷な訓練を長期間受け続ける必要があり、体力的にもメンタル的にも相当なストレスがかかります。
この辛い訓練を乗り越えられずに、入校したてのうちから離職してしまう人もいるのが実情です。
警察庁が発表した資料によると、「組織になじめない」という理由により、警察学校を辞める人が多いようです。
警察学校における初任科生の退職率は、令和4年度で約9.8%であり、退職理由の
引用元:https://www.npa.go.jp/laws/notification/kanbou/jinji/tihoukeisatukansaiyou.pdf
約63%が「組織になじめない」となっている
警察官の業務を考えると、警察学校が厳しいのは当たり前だと思います。
ただ、「思った以上に厳しい」と感じた人が多かったのかもしれませんね。
警察庁は「ミスマッチ」が原因と考えているようです。
甘い考えで警察官になるのはやめとけ、といったところでしょうか。
他の職種に転職しづらい
ある程度年齢を重ねると、辞めたくても辞められないという事情もあると思われます。
警察官に必要な高度な専門知識や実務経験は、他の職種ではなかなか役立たないのが実情です。転職が難しいと感じる人も少なくありません。
一方、若い人の場合、経験のない職種であっても転職しやすいので、辞めやすいという事情もあると思います。
警察官に適性があるかどうかを早めに見極め、なじめないのならさっさと辞めてしまった方がいいでしょう。
まとめ:厳しさについていけないなら警察官はやめとけ!
「厳しさについていけないなら警察官はやめとけ」という結論になりました。
警察官の離職率は決して高くないため、適正がある方には問題がないのでしょう。
一方、30歳未満の若手の離職率が高いことから、警察という組織に向いていない人は、最初から警察官を目指さない方がいいです。
「警察官はやめとけ」とか「警察官は離職率が高い」といった噂の元になっているのは、こういった警察という組織になじめなかった方々なのかもしれません。
警察の仕事に対する情報収集をしっかり行い、自分に適正があるかどうか見極める必要があると考えます。