ヤフー知恵袋を見ていると、JA(農協)で働こうかどうか迷っている方の質問がありました。
農協(JA)ってブラックでしょうか?
私は現在17歳で年上の従兄弟2人が農協の職員なのですが、普通にいい職場だよ?と言って私にも農協に入ることを進めてきます1人は銀行?でもう1人は農業?関係の部署だそうです
ネットで見るとかなり悪いことを書かれているので少し怖いですが、従兄弟たちを見ていると悪い職場には思いません。
引用元:https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q14260180134
従兄弟はいい職場だといっているが、ネットでのJAの評判が悪いので心配になっているようですね。
結論としては「JAへの就職はやめとけとはいえない」です。
JAが主にブラック企業といわれるのは、いわゆる「自爆営業」が原因だと考えられます。
「自爆営業」とは、JAが販売しているJA共済に、社員が自腹を切って契約するような状況ですね。
しかしながら、自爆営業に対して政府の厳しい目が入っており、組織として堂々と自爆営業を命じることはできなくなっていると思います。
農業が無くなることはないでしょうし、全国展開している大きな組織ですので、安定した職業と考えれば、「JAへの就職はやめとけ」といえません。
JAの農業関連業務はやめとけと言えない
JAの収入の柱をざっくり分けると「農業関連」と「金融関連」の2つに分けられます。
2023年度上半期総合JA経営速報調査概要によると、「農業関連」と「金融関連」で大きく差がでているようです。
引用元:https://www.jacom.or.jp/noukyo/news/2024/02/240213-72335.php
ざっくり説明すると「信用事業」「共済事業」が「金融関連」、「購買事業」「販売事業」が「農業関連」となります。
「信用事業」「共済事業」が令和3年から4年にかけて利益が減っています。
一方で「購買事業」「販売事業」は、令和3年から4年にかけて利益が伸びています。
日本から農業が無くなることは考えられませんので、JAが簡単につぶれるようなことはないでしょう。
ですので、農業等に関心があるという条件はつきますが、JAの農業関連の業務であれば「やめとけ」とはいえません。
ただ、絶好調というほどの利益の伸びではありませんので、あくまで「安定をとるなら」とつけくわえておきます。
JAの自爆営業が禁止されたのでやめとけと言えない
上で紹介したように、JAの金融関連の利益は減ってきていますが、自爆営業が禁止になった現在では「やめとけ」とは言えません。
JAの金融関連、特に保険業務の利益が減った原因の1つが「自爆営業の禁止」だったようです。
農協の経営が揺らいでいる。2022年度の農協の保険事業の粗利が前年度から5.9%減となり、32組合が最終赤字に沈んだ。本編集部の試算で、5年後の減益額は1500億円超に上ることが分かった。(ダイヤモンド編集部副編集長 千本木啓文)
引用元:https://diamond.jp/articles/-/333198
そもそも会社の利益のために、社員の犠牲を伴っていたというのがおかしな話です。
内閣府のホームページによると、JAでは下記のような自爆営業が実施されていたようです。
農協において、自社の共済事業のノルマの達成のために不必要な共済を従業員が自腹で契約している。医療共済、がん共済などの契約に年 100 万円の掛け金を負担している例もあり、若手を中心に離職者も後を絶たない。
引用元:https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/2310_03human/231115/human02_05.pdf
どう考えてもおかしな状況ですので、自爆営業に対してメスが入りました。
その結果、利益が減少していますが、正常な状態に戻ったと評価すべきだと思います。
ただし、見えないところで自爆営業が残っている可能性はあります。
自爆営業に対しては、政府が労働基準法違反、パワハラになる可能性があると言っていますので、強要された場合は然るべき対応をとるといいでしょう。
ノルマ未達成分の代金を労使協定なく給与から控除している場合は、労働基準法違反となる可能性(労働基準法第 24 条)。
引用元:https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/2310_03human/231115/human02_05.pdf
使用者としての立場を利用して、従業員に不要な商品の購入を強要することは、不法行為となる可能性があり、公序良俗に反した場合は売買行為が無効となる可能性。パワーハラスメント(労働施策総合推進法第 30 条の 2 第 1 項違反)となる可能性も。
自爆営業を堂々と強要される状況ではないと考えると、「JAに就職はやめとけ」とは言えない状況です。
まとめ:JAへの就職はやめとけとは言えない
「JAへの就職はやめとけとは言えない」という結論になりました。
JA全体の利益は落ちていますが、農業関連業務は安定を見せています。
一方で、金融関連の利益が落ちているとはいえ、自爆営業が禁止されている状況は、従業員としては働きやすい環境になったと言えます。
安定した収入を求めるのであれば、「JAへの就職はやめとけ」とは言えません。
ただし、当たり前ですが、全国展開しているJAですので、地域による差はあると考えた方がいいでしょう。