航空管制官は、空港でパイロットに対して的確な指示を出し、飛行機の安全な運行を支える専門職です。
ドラマやゲームの題材にもされ、かっこいいイメージも職業ですね。
一方で、「航空管制官はやめとけ」といった声も聞かれます。
実際のところはどうなのでしょうか?
私の見解としては、「航空管制官はやめとけとは言えない」です。
航空管制官は唯一無二の仕事ですので、「この仕事がしたい」という強い気持ちがあるのでしたら、「やめとけ」と言えるものではありません。
一方で、航空管制官になれる能力があるのなら、他の職業についた方が、給与面では恵まれるのではないかという考えもあります。
この記事では、「航空管制官はやめとけ」という意見に対して、様々な角度から検証をしていきます。
航空管制官になるのは厳しい
航空管制官になるには、試験に合格し、航空保安大学校を卒業しなければなりません。
非常に厳しい壁があるため、「航空管制官はやめとけ」と言われていると考えられます。
試験の合格率は22.4%
航空管制官になるには、まず「航空管制官採用試験」に合格する必要があります。
2023年度では、418人の受験者に対し、最終合格者は94人でした。
合格率は22.4%と、かなり厳しいことが分かります。
また、試験内容には公務員としての常識だけでなく、英語の能力も求められるため、通常の公務員試験よりもハイレベルです。
「航空管制官採用試験」に合格するには、それ相応の対策が必要でしょう。
航空保安大学校で8ヶ月の研修
「航空管制官採用試験」に合格した後、航空保安大学校での8ヶ月の研修があります。
航空管制官は、飛行機の安全を守る職業ですので、しっかりとした研修が必要ということですね。
大学校で成績不良であれば、「国家公務員の身分を失うこともある」とされています。
試験に合格した上で、さらに8ヶ月の研修を修了するという厳しい条件があるので、「やめとけ」という人がいると推測できます。
航空管制官の給与は安くはない
航空管制官の給与は、決して安くはありません。
ただし、航空管制官に求められる能力に対して、見合った給与なのかは疑問です。
民間と比べると高水準
航空管制官の給与は、民間企業と比べると高水準です。
航空管制官と民間企業の年収を比べたのが、下の表です。
※航空管制官そのものの平均給与は不明でしたので、「専門行政職」全体の数字を出しています。
給与(年額) | |
---|---|
航空管制官(専門行政職で計算) | 約654万円 |
民間企業(全体) | 約458万円 |
民間企業(資本金10億円~) | 約649万円 |
航空管制官は、大企業なみの給与をもらっていると考えてよさそうです。
求められるスキルに対して給与は高くない
「航空管制官は給与が高い」と書きましたが、高い能力も求められます。
上で書いたように、「航空管制官採用試験」と「航空保安大学校での研修」をのりこえて、やっと航空管制官になれます。
その後も、事故がないように日々の業務を行うのは、ストレスが貯まることが想像できます。
高い能力を持っていて、厳しい競争を勝ち残れる方でしたら、もっと高い給与の得られる職業につける可能性があります。
民間企業であれば、スキルアップを繰り返して、よりよい待遇の企業に転職することもできるでしょう。
「航空管制官になれる能力を持っているなら、もっといい企業に就職できる」という意味で、「航空管制官はやめとけ」と言う方もいると考えられます。
航空管制官の仕事は安定している
航空管制官の仕事は、下記のような理由から安定しているといえます。
航空管制官は残業は少ない
基本的に航空管制官は交代勤務で行います。
空港にもよりますが、24時間稼働している空港であれば、夜勤も含めて交代勤務でないと回せませんね。
ですので、基本的には時間がくれば次の方に交代し、残業はありません。
安全に関わる仕事ですので、長時間勤務になれば、集中力が切れてしまうという理由もあるでしょう。
【休暇事情✈️】
— 元航空管制官が試験対策講義作ってみた (@atc_x_exam) July 14, 2023
4日働いて2日休むの6日で1セット
内訳は
早番 早番 遅番 夜勤 明け off
以下ループ
明けは朝8:00くらいに解放されます
夜勤官署は3連休アリ
※上記は1例
それに加えて年休20日+夏季休暇3日なので自由時間は多いです
これを経験すると楽すぎて民間には戻れません#航空管制官
基本的にはルーチンワーク
航空管制官の仕事は、基本的にはルーチンワークです。
ある程度決まった内容で、日々の業務をこなすことになります。
悪天候やトラブル等があれば、臨機応変な対応が求められることになるでしょう。
専門的な知識やスキルが必要とはいえ、ある程度仕事に慣れれば、業務遂行はスムーズに行くでしょう。
クリエイティブな仕事をしたい人には向いていない
ここまでは、仕事が安定していることをメリットとして紹介しました。
逆にいうと、航空管制官にクリエイティブな仕事は難しいといえます。
安全を守る仕事ですので当たり前ですが、仕事に慣れると退屈に感じてしまうかもしれません。
まとめ:航空管制官はやめとけと言えない
「航空管制官はやめとけとは言えない」という結論になりました。
航空管制官は唯一無二の仕事ですので、「やりたい」という強い気持ちを持っている方に、「やめとけ」とは言えません。
しかしながら、航空管制官になるまでに、採用試験や大学校での研修など、高い壁が待っています。
また、航空管制官になれる方なら、もっと待遇のいい職業につけるかもしれません。
航空管制官は割に合わないと思う方が、「航空管制官はやめとけ」と言っている可能性があります。