公務員になろうと思っている方の中には、「国税専門官」を目指している方もいるのではないでしょうか?
しかしながら、「国税専門官はやめとけ」と言った声があるのも事実です。
国民の義務である納税に関する仕事をしたいと思っている方には、「やめとけ」という意見は気になると思います。
結論としては、「国税専門官はやめとけと言えない」です。
国税に関する仕事をしたいという強い使命感を持っている方には、「やめとけ」とは言えません。
一方で、「一般的な公務員に比べて給与が良い」という理由だけで、国税専門官になろうとしている方には「やめとけ」と言いたいです。
結局のところ、「国税専門官の仕事をどれだけしたいのか」によって、「やめとけ」になるかどうかが決まってくるでしょう。
国税専門官の仕事をしたいかどうかが決め手
国税専門官という仕事を選ぶかどうかの最大のポイントは、税務の仕事に強い興味と使命感があるかどうかにかかっていると言っていいでしょう。
税は国の根幹を支える大切な仕事ですから、やりがいは大きいと言えます。
しかし、一方で納税者との対立が避けられないストレスフルな業務でもあります。
このように、国税の仕事は光と影がはっきりしています。
自分の適性に合っているかどうかを冷静に判断する必要があります。
税務の仕事に誇りを持ってできるならば、国税専門官のことをよく知らない人の意見はきく必要はないでしょう。
一方で、税務の世界に全く興味がない、何となく国税専門官になろうとしているのであれば、他の職種を選ぶ方が適しているでしょう。
つまり、この仕事に強い熱意があるかどうかによって、「やめとけ」と言うべきかどうかが変わってきます。
ストレス耐性があるなら国税専門官は向いている
国税専門官の仕事は、納税者との対立などからストレスが非常に高いと言われています。
特に、政治家の裏金問題とか増税とかの状況であれば、税務署の職員が無駄にクレームを受けることになってしまいます。
ストレスに強い精神力がなければ、長く務めることは難しいでしょう。
ただし、納税は国民の義務ですので、「正しいことをしている」という信念があれば、気にする必要はないでしょう。
とはいえ、面と向かって文句を言われたら、気にするなというのも無理だと思いますが…。
最初に書いたとおり、まずは税務の仕事に強い興味と使命感があるかどうかが重要ですね。
国税専門官の離職率は高くない
「国税専門官の離職率は高い」といった話もききますが、明確なデータが提示されている記事は見つけられませんでした。
今回「人事院」のデータをもとに調べたところ、国税専門官の離職率は意外にも高くはありません。むしろ低い部類に入ります。
民間、公務員全体、税務職の3つについて、離職率を比較してみました。
なお、一般的な離職率では、定年退職でやめる方も含まれますので、20代の離職率(離職者/在職者)を表にまとめました。
税務職の中には「国税専門官」以外に「税務職員」も含まれますので、「国税専門官」の正確な離職率でないことは、ご留意ください。
とはいえ、大きく数字が変わるようなことはないと考えています。
「税務職」の20代離職率は、「公務員全体」と比較すると60%程度、「民間」と比較すると10%程度ということが分かります。
税務職の離職率は低いと言っていいのではないでしょうか?
民間に比べて、国家公務員という身分の安定性や、一定の給与水準が保証されていることが大きな理由でしょう。
また、最初から税務職員として働くという気持ちを持っている方が受験していますので、専門職としての誇りやプライドを持てる点も影響しているでしょう。
実際、国税専門官を長年にわたり続ける人が多数います。
この事実が示すように、決してストレスだけで離職につながるわけではありません。
適性があり、ストレスに負けない強い精神力があれば、十分に長く勤められる職種と考えてもいいでしょう。
国税専門官の初任給の高さに釣られたらキツイ
一方で注意すべき点は、初任給の高さに惹かれて国税専門官を選んでしまうケースです。
確かに国税専門官の初任給は、他の国家公務員と比べても高額な部類に入ります。
「国税専門官」と「一般職試験(大卒程度)」「総合職試験(大卒程度)」で、初任給と競争率を比較した内容を表にまとめました
試験種別 | 初任給(2024年度) | 競争率(2023年度) |
---|---|---|
国税専門官 | 269,640円 | 3.0倍 |
一般職試験(大卒程度) | 235,440円(行政職員) | 2.3倍 |
総合職試験(大卒程度) | 240,840円(行政職員) | 7.1倍 |
「国税専門官」は、「一般職試験」や「総合職試験」より約3万~3万5千円程度、初任給が高くなっています。
競争率こそ、一般職試験よりは高いですが、総合職試験よりはかなり低くなっています。
競争率と初任給がだけ見るなら、「国税専門官はコスパがいい」と言ってもいいのかもしれません。
ただし、給与の高さだけに目がくらんで選んだ場合、実際の仕事のキツさにショックを受けるかもしれません。
国税専門官の初任給が高いのは、納税者からのクレーム手当が入っていると考えてもいいのかもしれません。
ですので、国税専門官を選ぶ際は、給与面だけでなく、ストレスの高さや仕事内容を十分に理解した上で、判断する必要があります。
まとめ:国税専門官はやめとけと言えない
「国税専門官はやめとけと言えない」という結論になりました。
国税専門官になりたいかどうかという気持ちを考慮せずに、「やめとけ」と一律に言うことはできません。
むしろ、国税専門官に対する使命感があるのでしたら、初任給の高さや離職率の低さは魅力的に感じるでしょう。
一方、単に国税専門官に興味がないのに、初任給の高さだけにつられてしまうと、納税者からのクレーム等のストレスにより、離職を余儀なくされるかもしれません。
税務職への興味がないなら「やめとけ」と言わざるを得ません。